セコメディック病院
泌尿器科部長/湯本久雄(ゆもと・ひさお)
管理栄養士科長/齋藤まり(さいとう・まり)
今年も熱中症に注意が必要な季節がやってきました。気象情報などで熱中症注意報とともに、適切な室温管理と水分摂取が呼びかけられています。泌尿器科の診察をしていると、夏場は結石の患者さんが増えてきます。
高温環境下では、汗の量が多くなり体から蒸発していく水分量も多くなり、体の水分が足りない状態になる、いわゆる「脱水」がおこります。
脱水状態が続くと尿が濃く少なくなり、腎臓、尿管、膀胱、尿道といった尿路に尿中の成分が結晶化して育ち、結石が生じてきます。これを「尿路結石」といいます。 尿路結石の症状は血尿と激しい痛みです。初期治療は、まずは痛みに対する処置と結石の除去です。尿路結石は再発が多いため、根本治療と共に生活の改善も必要となります。
再発を予防するためにも次の点に気をつけましょう。
尿路結石は欧米化した食習慣が大きいといわれています。日頃から自分にあったエネルギー量で、バランスの良い食事を心がけましょう。加えてシュウ酸、プリン体、塩分のとりすぎもよくありません。シュウ酸はほうれん草、ココア、玉露、抹茶などに多く含まれます。ほうれん草はゆでこぼしによりシュウ酸を減らすことができます。プリン体を多く含む食品は肉類(内臓)、魚介類、干物がありますが、飲料ではアルコール(特にビール)に多く含まれるので注意が必要です。塩分のとりすぎはカルシウム結石再発の危険性を高めます。
痛みを感じたらお気軽に泌尿器科を受診してください。
今年の夏は、尿をうすめるためにも意識して多めの水分摂取を心がけてみてはいかがでしょうか。
※内容は2024年5月時点のものです。