ご挨拶

2011年9月1日 一般社団法人日本リウマチ学会教育施設に認定されました。
当院では 2010 年 9 月からリウマチ科を開設しました。 月曜日から土曜日までの毎日、整形外科系リウマチ医師が診療を行っています。  また、リウマチ類似疾患や膠原病に関しては、金曜日の(予約制)膠原病内科専門医師と連携を図って診療にあたらせていただきます。

関節リウマチについて

関節リウマチ(リウマチ)は30~50歳代の特に女性に好発する病気で、関節の滑膜炎が主体の全身性自己免疫疾患であります。進行すると軟骨や骨が破壊され四肢の関節変形や痛みによって身体機能障害を引き起こします。簡単にいうと『全身の関節が腫れて徐々に壊れていく病気』です。一度関節が壊れるとその変化は元に戻らないため、早期からの適正な治療が必要です。骨・関節破壊の初期に現れるレントゲン上の骨びらん(骨が虫食いにあった像)はリウマチが発症してから2年以内に進行することが知られていますが、最近では特に発症して3ヶ月以内の早期に認められその後進行すると言われています。ですからその変化が起きるや否や、または起きる前にリウマチを抑える治療が有効となるわけです。つまりガンや他の病気と同じでリウマチも早期発見(リウマチの場合は早期診断)・早期治療が大事になってきます。

      

リウマチの症状

手指の関節が腫れる・痛い、朝に手がこわばるなどが初期の症状に多いです。その他全身症状として、微熱・倦怠感・貧血などがありますが基本的には関節症状を伴います。

      

リウマチの診断

基本的には診察(症状の経過、関節の腫れなど)、レントゲン、血液検査で総合的に判断します。血液検査のリウマチ反応(リウマトイド因子)は健常者でも陽性となることもあり、現在はリウマチの診断にもっとも特異的な抗CCP抗体を調べます。この抗体が陽性だとリウマチの可能性が高く、またその数値が高値だと将来にわたってリウマチの進行具合が高く予後が不良になると言われています。  早期治療のためには早期診断が必要です。ある程度病気がすすんだ方や時間の経過が長い方のリウマチ診断は容易なことが多いのですが、発症して間もない方などはなかなか診断に苦慮することもありますので、そういった場合は経過をみながらもう一度血液検査をおこない慎重にリウマチかどうか診断していきます。大事なことは症状を疑った場合は早めにリウマチ医の診察を受けることです。

      

リウマチの治療 最近の考え方

リウマチの骨変化は発症して3ヶ月以内に認められその後関節破壊が進行すると言われています。よってリウマチの治療目標は発症早期から炎症を抑え込み関節破壊を未然に防ぐことであります。1)早期診断 2)早期からの抗リウマチ剤積極的投与 3)炎症を厳格にコントロール(タイトコントロール)、その結果リウマチの治療目標が従来の寛解(症状がなくリウマチがコントロールされている)ではなく臨床的寛解(痛みや腫れ、検査値異常もない)、構造的寛解(レントゲンで関節破壊が進行していない)、機能的寛解(日常生活の身体機能の改善・保持)へと進化しました。簡単に言いますとリウマチが発症して間もない早期からそれなりの強い薬を使ってリウマチを抑えるということです。具体的には、現在世界的スタンダードとなりつつある方法として抗リウマチ剤のMTX(メトトレキサート、リウマトレックス・メトレート)を第一選択とし、効果がなければ4~8週ごとに増量し、それでもリウマチの勢いが抑えられなければ生物学的製剤を使用するといった治療法です。

      

リウマチの薬物治療

リウマチ治療の基本です。リウマチの薬物治療は近年めまぐるしく変貌を遂げました。従来の抗リウマチ薬に加え生物学的製剤(抗サイトカイン療法)の登場により強力にリウマチの炎症をコントロールできるようになりました。抗リウマチ剤にはMTX(メトトレキサート、リウマトレックス・メトレート)、アザルフィジン、リマチル、プログラフなどがあります。現在の主流はMTXですがその他のアザルフィジンやリマチルでも十分コントロールできる方も多く、また上記の抗リウマチ剤をいくつか組み合わせたコンビネーション療法も有効性が報告されており、その人その人に合った抗リウマチ剤を選択することが大事と考えます。MTXはもともと抗ガン剤として承認されたものですがリウマチにも有効であることが判明しリウマチにも承認されました。MTXは世界的に最も使用頻度が高く、投与量を増量すれば効果が高くなることもわかってきました。以前は日本では上限8mg/週まで使えなかったのですが、2011年から16mg/週まで投与可能になりこれだけでも充分にリウマチを抑えることが出来るようになりました。ただ効果が期待できれば当然副作用のリスクがあります。吐き気・口内炎などの消化器症状や肝機能異常は葉酸というビタミン剤と一緒に服用すればある程度軽減できますが、肺炎や造血障害といった副作用はなかなか予防できません。症状によっては服用中止で軽快することもあり、この副作用も早期発見・早期診断が重要となります。また患者さんの既往症・合併症によっては服用が不可能なこともあります。慢性肝炎や重度な肝障害・腎障害、間質性肺炎などには禁忌となっています。最近のもう一つの主役である生物学的製剤(抗サイトカイン療法)ですが、2014年現在日本では7剤(レミケード、エンブレル、ヒュミラ、アクテムラ、オレンシア、シンポニー、シムジア)が使用可能です。その投与方法も点滴や皮下注、毎週から4週、最大8週間隔と患者さんの生活スタイルにあわせて選択できます。  サイトカインとはリンパ球などの種々の免疫担当細胞から分泌される物質で主に免疫・内分泌・神経系の働きに関与しています。正常な状態ではサイトカイン同士うまくバランスがとれているのですが、関節炎があるといくつかのサイトカインが過剰に産生され骨や軟骨を破壊してしまいます。リウマチでは主にTNF-α(アルファ)やIL-6といったサイトカインが産生され関節炎・関節破壊の原因になっていますのでこれらを抑えてリウマチの進行を阻止するのが抗サイトカイン療法です。従来の抗リウマチ薬を3ヶ月以上継続してもリウマチコントロールが不良で多関節に腫脹・疼痛が残存し血液検査においても炎症反応が高値の場合使用します。生物学的製剤は免疫を低下させる副作用を有しますので使用開始にあたっては体の中に感染がないか(結核や肺炎など)検査してからとなります。患者さんのリウマチ活動性や症状、既往症や合併症などをふまえて個々にあった治療法を見つけていくことが大事だと考えます。

      

リウマチの手術療法

最近の薬物療法の進歩により関節破壊を食い止め将来的には手術療法が減少すると言われていますが、残念ながら現状は依然として手術療法は不可欠な治療手段であります。リウマチの関節障害に対する手術療法は主として1)滑膜切除や関節形成術(手関節・肘関節など)2)人工関節置換術(膝関節・股関節・肘関節・足関節・手指関節など)3)関節固定術(手関節・手指関節・足関節など) 4)脊椎手術があげられます。当院では熟練した関節外科医やリウマチ医、脊椎外科医とチームを組んで治療にあたらせていただきます。また術後に不可欠なリハビリテーションに関しては理学療法士44名、作業療法士15名と全国でもトップクラスの人数を誇る体制で後療法に取り組んでいきたいと思います。

      

リウマチのリハビリテーション

当院には理学療法士44名、作業療法士15名、言語聴覚士6名、助手3名を併せて総勢68名と全国トップクラスの人数を誇る体制でリハビリテーションを実施しています。手術後のリハビリテーションはもちろんのこと、通院での外来リハビリテーションも実施しています。また手術後に全身状態が落ち着いてリハビリに専念したい方には回復期リハビリテーション病棟に転棟していただき思う存分リハビリテーションに励むことも可能です。

      

最後に

以前リウマチは不治の病と言われていましたが、最近の薬物療法の進歩によりリウマチは治る病気となりつつあります。繰り返しになりますが、リウマチが発症すると早期から骨・関節変化が現れその後関節破壊が進行しますので、なるべく早い段階からリウマチを診断し薬物療法を開始しなければなりません。その為には、「関節が痛い」「腫れぼったい」「朝に手がこわばる」などの症状を自覚したらなるべく早く病院を受診しリウマチ医の診察を受けることをお勧めします。そして薬には効果もありますが当然副作用もあります。また患者さんの持病によっては使えない薬剤もあります。副作用を恐れるあまり適切な薬物治療を受けず関節症状・関節破壊が進行して動けなくなるほうが患者さんにはつらい結果となってしまいます。患者さん自身にも薬の飲み方・副作用を十分理解していただき、疑わしい症状を自覚したら早めに内服を中止して病院受診をしていただければ副作用を最小限に防ぐことが可能です。副作用も早期発見が大事です。また既にリウマチと診断され治療を受けている方や、関節症状が進行し手術が必要な方も、当院には総合病院ならではの医療機器や設備ならびに充実したリハビリテーションを兼ねそろえておりますので、何なりとご相談下さい。

手術療法

THA(Total Hip Arthoplasty)人工股関節全置換術

股関節の寛骨臼と大腿骨頭を人工材料で置換再建する手術方法です。

  • 手術前

  • 手術後

TKA(Total Knee Arthroplasty)全膝関節置換術

膝関節の関節面を人工材料で置換、再建する手術方法です。

  • 手術前

  • 手術後

THA revision(人工股関節再置換術)

以前に手術した人工関節にゆるみや磨耗などが生じた部分を、新しい人工材料に置換して、再建します。

  • 手術前

  • 手術後

脊椎固定術

関節リウマチなどによる変性や、腰椎圧迫骨折、著しい骨粗鬆症で腰部脊柱管狭窄を併発し、麻痺や疼痛が生じたり、脊椎の不安定があるときに骨移植などを行い、脊椎の固定を行います。

  • 手術前

  • 手術後

人工足関節

関節リウマチにより、著しい関節痛と機能障害がある場合、関節の変形が強くなければ、人工材料で痛んだ関節を置換します。

  • 手術前

  • 手術後

TEA(Total Elbow Arthroplasty)人工肘関節全置換術

肘関節を人工材料に置換、再建します。食事・整容動などができるようになります。

  • 手術前

  • 手術後

患者様へメッセージ

以前リウマチは不治の病と言われていましたが、最近の薬物療法の進歩によりリウマチは治る病気となりつつあります。繰り返しになりますが、リウマチが発症すると早期から骨・関節変化が現れその後関節破壊が進行しますので、なるべく早い段階からリウマチを診断し薬物療法を開始しなければなりません。その為には、「関節が痛い」「腫れぼったい」「朝に手がこわばる」などの症状を自覚したらなるべく早く病院を受診しリウマチ医の診察を受けることをお勧めします。そして薬には効果もありますが当然副作用もあります。また患者さんの持病によっては使えない薬剤もあります。副作用を恐れるあまり適切な薬物治療を受けず関節症状・関節破壊が進行して動けなくなるほうが患者さんにはつらい結果となってしまいます。患者さん自身にも薬の飲み方・副作用を十分理解していただき、疑わしい症状を自覚したら早めに内服を中止して病院受診をしていただければ副作用を最小限に防ぐことが可能です。副作用も早期発見が大事です。また既にリウマチと診断され治療を受けている方や、関節症状が進行し手術が必要な方も、当院には総合病院ならではの医療機器や設備ならびに充実したリハビリテーションを兼ねそろえておりますので、何なりとご相談下さい。

【関連リンク】 整形外科はこちら

医師紹介

  • 山﨑 純司(やまざき じゅんじ)

    役職
    リウマチ科部長
    専門
    関節リウマチ、人工関節
    資格
    日本リウマチ学会専門医、日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会認定リウマチ医
            
  • 長島 賢二(ながしま けんじ)

    役職
    整形外科部長
    専門
    外傷、脊椎外科、リウマチ疾患、人工関節外科
    資格
    日本整形外科学会、人工関節外科学会